2021年をスタートするために書いておきたいこと②
2020年10月5日(月)
娘が「おじいちゃんが死んじゃう夢を見た」
と騒ぐ。
その夜…
安否確認!と、みんなで笑う。
父と久しぶりに話をすると…
「杖が欲しいから見てきてくれないか?」と
生まれて初めて買い物を頼まれる。
10月6日(火)
父の初めてのお願い。
いつもならここで、
日曜日にでも買いに行こうと
考える私。
このときは、なんだか
急がなきゃ、今日渡さなきゃと
すごく感じて…
杖を買って夜渡す。
コロナ禍で元気のなかった父が
ここ最近にはないくらい
喜んでくれて。
私も嬉しかった。
やっぱり、急いでよかった!
久しぶりに見た父の笑顔だった。
杖の説明書の脇に、
練習してから使ってね。
と書き込む。
10月7日(水)
朝は相変わらずバタバタの私は
父と会っていない。
第一水曜日は
プレミアムレッスンを受けに行く日。
レッスンを受けて充実感の残る中
母から着信
「お父さんが倒れた。救急車で病院いく」
母の口調でただことでないことがわかる。
すぐに帰宅して救急病院へ。
検査後運ばれてくる父を見て
涙も出なかった。
沢山の管で繋がれた父。
何かに対抗するように強く動かす手足。
あんなに弱くなっていたのに…
それはそれは、
不本意だったに違いない。
病院嫌い、だったからね。
その日
「出血が広がれば今日の命もわからない」と
告げられる。
状況を飲み込めない母が
「命だけは、なんとかお願いします。
まだ何も大事なこと聞いていない。話せていない。」
と泣いていたけれど、
私は呆然と聞いていた。
万が一の時の延命治療について聞かれる。
兄が
「その時が今日来たら
今日だけはなんとかお願いします」
と伝える。
私も同感。
とにかく時間が欲しかった。
なんだろ…
ちょっと、ちょっとまって!って。
父は、転倒で後頭部を強打したことによる
外傷性くも膜下出血。
この日…
朝から杖の説明書を隅から隅まで読んで
大喜びだったそう。(母の話)
暖かく天気も良かったので
お昼前にマスクをして杖をついて出発。
「ちょっと行ってくるよ」
と母に声をかけた。
小一時間が経ち…
昼食の支度をする母に呼び鈴。
「お父さん倒れています!救急車呼んでください」
車を停めに戻った主人が父を発見してくれた。
玄関まであと数歩のところで
仰向けに倒れていたらしい。
右手に杖、その横に鍵が落ちていた。
両方のポケットに
目薬が2つと、レシート。
杖をついて調子が良かったのか
歩いては少し遠い薬局のレシート。
サンテ40を2点購入して
端数を小銭で払っている。(父らしい。笑)
お店を出た時間もわかる。
でも、
倒れた瞬間を誰も見ていない。
それが悔しくて、悲しくて。
レシートを見るたびに涙がでた。
杖を渡していなければとか、
朝話していればとか、
一緒に練習していればとか。。。
後悔の言葉ばかりが浮かぶ。
でも、
父からすると
見られなくて良かった。
そう思ったのかもしれない。
つづく