クルマもヒトもハイブリッド?

今日は私の出身地である足立区体育協会主催の、公認スポーツ指導員養成講習会の講師として、100分間の講義をしてきました

テーマは『身体のしくみと運動』

その中で、一番解説に苦労するのがこのパートです

 

 

 

 

 

 

筋肉を収縮させ関節運動を引き起こす際の、直接のエネルギーは、筋肉中のATPがADPとリンに分解されて生じるエネルギー

運動について専門的に学んだ方なら、記憶にあると思います

でも、筋肉内のATPの蓄えはわずかなので、同じく筋肉内にあるクレアチンリン酸を分解し、その時に生じたエネルギーを利用して、再びADPはATPに戻り、また分解されて筋収縮に必要なエネルギーを生み出します

これを、ATP-CP系と言いますね

単にリンを放出したり結合するだけの、比較的単純な化学反応によって起こるので、ATP-CP系は運動開始直後瞬時に力を発揮するときなどに、大切な役割を果たします

 

 

 

 

 

 

でも、クレアチンリン酸もそれほどたくわえがないので、ATP-CP系を作用させて運動できる時間は、せいぜい数秒間です

さらに運動を続けるためには、別のところからATP合成のためのエネルギーを供給しなければなりません

それが糖や脂質、つまり私たちが食物から摂取する栄養素です

筋肉中にはグリコーゲンとしてある程度の糖が蓄えられているので、その糖を分解してエネルギーを生み出し、そのエネルギーを利用してADPをATPに復元します

貯蔵型のグリコーゲンから、まずグルコースに姿を変え、さらにグルコースがピルビン酸に変化する過程で、エネルギーを生み出しますが、ATP-CP系に比べると反応にやや時間がかかります

これを解糖系と言いますね

 

 

 

 

 

 

ところが、解糖系を作用させていくと、どうしても乳酸が生じてしまいます

乳酸と言えば、おなじみの疲労物質です

あまりたくさん生じると筋収縮できなくなってしまいます

そこで、グリコーゲンが分解されてできるピルビン酸を、乳酸になる前に筋肉内のミトコンドリアという器官の中に取り込んで、そこでTCAサイクルという化学変化の過程を経て様々な物質に変化しながら、たくさんのエネルギーを生み出します

この酸化系では、グリコーゲンのような糖質の他に、筋肉中の脂肪酸をとりこんで、エネルギーを生み出すこともできます

この反応には酸素が欠かせないため、酸化系と言われます

ただしさらに反応が複雑になるため、より時間がかかるようになります

また、呼吸で取り込んだ酸素が充分な量筋肉に供給されるまでには、時間がかかるので、運動開始からTCAサイクルが十分働きだすまでには、やはり時間差が生じます

 

 

 

 

 

 

この説明をどうしたらわかりやすくできるか考えた時に、ふと思いついたのが、ハイブリッドカーでした

バッテリーに蓄電された電気で作動するモーターと、ガソリンを燃やして回すエンジンの、二つの動力を併せ持つのがハイブリッドカーですね

ハイブリッドカーは、停止した状態から車が動き出す際の、一番力が必要な時には、瞬時に大きな力を発揮できるモーターの動力を用いています

これはまるでATP-CP系ではないですか(笑)

しかし、バッテリーの蓄電量だけでは長くは走れないので、ある程度加速すると、今度はエンジンの動力でガソリン車と同じように走ります

そしてその間にバッテリーにふたたび電機が蓄えられていきます

バッテリー=ATP-CP系

エンジン=解糖系・酸化系

と例えてみたら、なんともつじつまが合う!

エンジンのエネルギー源であるガソリンは、足りなくなりそうだったら給油すればいいわけで、これは私たちが食物から糖や脂質というエネルギー源を摂取するのといっしょですね

 

またまた、人の身体を車に例えてしまいました(笑)

ちなみに、私の車は二台ともハイブリッドではありません

モーターのアシストによる力強い発進力はありませんが、その分アクセル全開で頑張っています