つぶやき(感染対策編)

フィットネスインストラクターの穂積典子です

新型コロナウィルス感染の再拡大で、東京都や関西圏に出されていた緊急事態宣言は延長されたうえ、新たに複数の道府県が緊急事態宣言の対象となり、まだまだ予断のならない状況が続いています
私がレッスンしている施設は、千葉、茨城県なので、その対象地域には含まれず、このような状況下でもこれまで通りレッスンをしています
その中で気になることが

今私が担当しているレッスンの半分以上はステップエクササイズのクラスです
なので、レッスン終了後はご参加の皆さんに、必ず使用した台を除菌液で拭くようお願いしています
これはステップに限らず、ヨガマットやストレッチポール、ダンベルなど、道具を使ったクラスではすべて行われていることです
その際に用いている除菌液は、ほとんどのところが次亜塩素酸水です
コロナウィルスの除菌というと、手指などはアルコールが用いられることが多く、厚生労働省も一定濃度以上のアルコールの有効性を、かなり早くから公にしています
コロナウィルスに対する有効性は間違いのないアルコールですが、モノの除菌にはお勧めできないケースがあります
アルコールには、プラスチックやゴムを硬化させる性質があるのです
フィットネスツールとして使用されているものの多くは、これらの素材、あるいはそれに近いもので作られているため、頻繁にアルコール除菌を行うことで製品が劣化してしまいます
適度なクッション性が求められるヨガマットがカチカチに硬くなってしまったり、ステップ台にひび割れが生じたら、使い物になりませんね
そのためにも、アルコールではなく次亜塩素酸水がいいのです
ちなみに、名前は似ていますが、次亜塩素酸ナトリウムを使ったら、あっという間に色あせてしまうし、除菌の際に手についたりしぶきを吸い込んでしまったら、人体に害をもたらします

このような理由もあってか、フィットネス施設では器具の除菌には、この次亜塩素酸水が使用されていますが、その使用の仕方について、最近気になることが・・・

私が知る限り、ほとんどの施設では、常設された次亜塩素酸水を使い捨てのペーパータオルにスプレーし、そのペーパータオルで器具を拭いています
まずここで一点の疑問が

以下、とあるサイトからの引用文です

十分な消毒効果を得るには、モノに付着したたんぱく質などの汚れをきれいに洗い流し、そのうえで表面をヒタヒタに濡らす量の次亜塩素酸水を回しかけます。そして、20秒以上の時間を置いた後にタオルやキッチンペーパーで拭き取れば消毒が完了します

引用元はこちら

https://www.38-8931.com/pharma-labo/carrer/jiaensosansui.php

ここまでやっているところはほとんどないですね
実際に、レッスン後に参加者の方が全員、それぞれが使用したマットやステップ台に”ヒタヒタ”になるほどの次亜塩素酸水をふりかけていたら、ふき取りにも時間がかかってしまうし、一度に大量の次亜塩素酸水を消費するので、今のようなせいぜい500mlくらいしか入らないようなスプレーボトルなんてあっという間に空になってしまい、実際には難しいでしょう

ちなみに、私は自分が使ったステップ台には、クラブが用意した除菌液を、ヒタヒタまではいかないものの、直接スプレーし、多少湿り気が残ってもやむなしと思いながら、数枚のペーパータオルを使って拭き取っています

さらに時々目にするのが、レッスン前にスタジオに用意してあるペーパータオルにあらかじめ除菌液をスプレーし、それをステップ台の下などにキープしている方です
レッスン後はそれをさっと取り出してご自分の使った台を拭いておしまい
実はこれが大きな落とし穴なのです
次亜塩素酸水は非常に不安定な性質の化学物質で、光に当たったり有機物に触れることで簡単に分解し、ただの水になってしまいます
レッスン前にスプレーした次亜塩素酸水だと、30~45分経過したときには、その除菌効果はすでに失われています
アルコールのように揮発性が高くないので、時間がたってもペーパータオルが湿ったままで、それでふき取れば大丈夫と勘違いしがちですが、一度容器の外に噴射されたものは、すぐに効力を失ってしまいます

クラブが示す除菌の手順をあからさまに否定はしたくありませんが、今一度、除菌方法については見直しが必要なのではないかと思います

ちなみに、FIA(フィットネス産業協会)のガイドラインでは、除菌液に何を用いてどうやって行うかなどの、具体的な方法は示されていません
各施設がそれぞれ正しい知識に基づいて、対策をとっていくことになります

長文になってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました

ここで私が綴ったことは、一人のフリーインストラクターのつぶやきということにとどめておきます