フィットネスインストラクターの穂積典子です
今日はちょっと長文ですので、お暇な方、お付き合いください
で、その②ということは、その①があるはずですね
はい、だいぶ前になります(笑)
https://yumeblo.jp/norimon/2016/archives/1397
さて、今日の一人歩き言葉は
骨盤=ぺルヴィック
最近のフィットネス、トレーニングのキーワードの1つと言っていいかもしれません
ペルビックストレッチ
骨盤体操
フィットネスクラブのレッスン名にも、当たり前のように登場する言葉になりました
フィットネス指導者や愛好者ばかりでなく、多少なりとも健康や美容に関心のある方なら、この言葉に興味を示す方が多いようです
ただ、その言葉ばかりが注目されだすと、おかしなことが起こるのも事実です
以前勤めていたクラブで、確かそのときはストレッチポールを使用したコンディショニング&リラクゼーションのクラスを始める時のことでした
初めてそのクラスに参加する会員さんから、こう質問されました
これって、骨盤に効きますか?
答えに窮する質問です
そのとき何と答えてその場を切り抜けたのか、今では忘れてしまいましたが
(笑)
でも、これが一般の方々の骨盤に関する認識なのです
骨盤がよくなると、ぽっこりお腹が解消するとか、骨盤を鍛えると、スポーツパフォーマンスが上がるとか、専門家からしたら???な言葉が巷では飛び交っています
そもそも、骨盤は骨の集合体です
そう簡単にその形を変えたり、筋肉のようにトレーニングしてその働きを高めたりすることはできません
ペルビックストレッチと言っても、骨盤自体を伸ばしているわけでは無いのはわかりますね
骨盤の動きを引き出すために作用する、周辺の筋肉をストレッチしているのです
骨盤は日常生活動作の中では、骨盤だけが単独で働くとはほとんどありません
歩いたり走ったりする時の下肢の動き、つまり股関節の動きに連動して動いたり、身体を捻ったり前屈したり反ったりと、脊柱の動きに連動して動くのです
これらの動きをスムーズに、そして大きな可動域で行えるようにするために、一緒に骨盤が傾いたり、回転したりするのです
なので、他のトレーニングを何もせずに、ただ骨盤に関わるエクササイズだけをやっていても、身体機能の向上は望めません
有酸素運動や、脚や体幹の筋力トレーニングをしっかり行った上で、骨盤に関するエクササイズをやってこそ、意味があるのです
また、骨盤のエクササイズには大きく分けると二種類あります
①骨盤の動きを円滑にするもの
②骨盤の安定化を図るもの(骨盤がブレないようにすること)
一言で骨盤のエクササイズと言っても、実は全く正反対の作用を持つものがあるのです
先ほど説明したように、骨盤は下肢や脊柱の動きに連動して、前後や左右に傾いたり、回旋したりします
例えば、大きなストライドで全力疾走する時、右脚を大きく前に降り出したとします
その瞬間、骨盤の右側だけか前に引っ張られ、骨盤は左方向に回転します
左足を前に降り出した時は反対方向の回転が生じます
骨盤がこのような動きをするおかげで、大股で歩いたり走ったりすることができます
だから、骨盤がよく動いてくれることは、私たちの日常動作やスポーツのパフォーマンスには大切なのです
その一方で、競技エアロビクスのハイキックでは、股関節を屈曲させて、同じように足を大きく前に蹴り出しますか、その時の股関節の動きにつられて骨盤が大きく後傾してしまうと、背中が丸くなり、全身のアライメントが崩れてしまい、見栄えが良くありません。当然、審査でも低く評価されてしまいます。どんなに勢いよく股関節を屈曲させて足を高く蹴り上げても、ブレずにニュートラルな状態が保てる骨盤、これが安定化です。
これらはアスリートとしての競技パフォーマンスの例であり、そのために選手は、実施種目に合わせて骨盤の可動性を高めたり、安定性を高めるためのトレーニングを、他のトレーニングと合わせて日々行なっているのです。
日常生活を健康に、アクティブに送れるように体のコンディションを整える目的の、フィットネスで求められる骨盤の機能も、これに準ずると思います
元気よく歩くための骨盤の可動性や、正しい姿勢を維持するための骨盤の安定化を目指した、『ペルヴィックエクササイズ』なのです
だから、それだけやってもダメなんです
ウォーキングやランニングのような有酸素運動に、骨盤の可動性が生かされて、より効率よく動けたくさんのエネルギーを消費できるようになります
脚や体幹の筋力トレーニングを補う形で骨盤のエクササイズを行うことで、骨盤が安定した状態で強い力を発揮できるようになるのです
『ペルヴィック=骨盤』という言葉だけが一人歩きをしないよう、私たち指導者も、気をつけなければなりませんね