『きちんと生きる』
秋の夜風の冷たさに心地よさを感じながら
虫の声を聴いて
ゆったりと読書を楽しんだ夜☆
読書感想文コンクールに出すための本は別で読んでいたけれど、結局読みきれずにいたので、
書店にて新しい本を購入♪
『八月のひかり』
主人公が5年生であったこともあり、
帯を読み、どことなく惹かれるものを感じて
ゆめに勧めてみました。
ゆめがピアノのレッスンに行っている間の30分。
読み始めてすぐに引き込まれるのを感じながら半分読んで、残りは夜に♪
ゆめは読んだ後、珍しく
「大切にしたいから、カバーをつけたい」と言いました。
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『ひかり』
この言葉の意味を
希望・あるいは、優しくてくすぐったい幸せ
小さいけれど満たされるあたたかさ・期待
月並みですが、明るい未来
そんなふうに感じました。
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テーマは、貧困。
日本は未だ、17歳以下の子どもたちの7人に一人が貧困状態にあります。
貧困の定義には2パターンありますが、
多くを占める理由は
①親の働き方事情、収入事情
②片親世帯の増加
です。
色んなつらさに耐えて頑張っているこの家族に、誰もが感動するだろうが、私たちは同時に、怒らなければならない。こんな世の中は間違っている、と。
帯の赤川次郎さんの言葉に導かれて読み、
いろんなことを考えました。
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裕福であることと幸福であることは
必ずしもイコールではありません。
作中で心に刺さったフレーズのひとつに
「貧乏とお母さんに捨てられるのと、どっちが悲しいかな」があります。
どっちも悲しいことなのに、
それを比べようとする主人公の痛くて切なくて、
けれども強く清らかな心に胸を打たれました。
裕福からは程遠いけれど、
心はまっすぐで美しい。
人として生きる様や、人としての在り方
人間としては間違いなく幸せで勝ち組です。
少なからず子どもの世界にもあるマウンティングで辛い思いをしているけれど、勝った気でいるいじめっ子たちより本当に優っている本物の勝者は主人公たち。
見えるものしか見ていないと、
清く美しく正しいものの価値がわからなくなり
己を見失います。
本当に不幸なのは、愚かであること。
『きちんと生きる』
作中に出てくる言葉です。
『きちんと生きる』
この言葉の解釈もきっと人それぞれでしょう。
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祖父母からは聞いたことがありませんが、お客様からは戦争に纏わる話を度々伺います。
閲覧制限がかかった【はだしのゲン】は何も知らない無知な私に戦争について考えるきっかけをくれた本です。
だんだんと戦争を語り継げる人がこの世を去り、
リアルに生の話を聞く機会も少なくなっている今、
豊かさに満たされ平和ボケしている大人や
それを普通だと思っている子どもたちにとって
戦争とリンクさせながら展開されていくこの本は、素晴らしい教本になるのではないでしょうか。
当時と現代では、同じ貧困でも意味合いが異なります。
けれど変わらないのは、
それらを経ての人の心。
『清貧』がテーマにあるドラマもありますが、
書籍や映像で自分のリアルにない疑似体験をした時に、何を考え、何を思い、自分の生き方にどう反映させるかが、その人そのものを表すように感じます。
『きちんと生きる』
毎日、自問自答していきたいです。
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忘れがちでスルーしがちな幸せを
きちんと紡ぎ、
噛み締めて感謝できる人でありたい。
そういうことを気づかせてくれる誰かの存在。
大切なものやことを同じ温度で共有できる存在。
例えばそれは家族であったり、
恋人であったり、友達であったり。
そういう誰かに囲まれている幸せを
とても感じる日々です。
私にできることもまた然り。
幸せなはずなのに
心が病んでいる時はきちんと教えてほしい。
きちんと教えられる親であり、大人でありたい。
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ギラギラと焼き尽くすような夏の暑さの中に
涼しくて心地よい風がふわっと舞う
読んだ後は爽やかで
春夏秋冬、四季すべてが心をいっぱいにするような、そんな本でした。
オススメです!
mana