加齢による歩行変化と床反力
高齢者の歩行速度は、
若年層に比べると遅くなります。
筋力や柔軟性・バランスなどが影響します。
歩行というのは日常生活から切り離せず
活動の自立度にも関わります。
転倒のリスクも出てくる高齢者にとって、
身体機能と動作能力を高めることは
必要不可欠です。
歩行速度は現状の身体の指標となります。
歩行速度を速めるためにはポイントがあります。
それは、『床反力』です。
床反力とは
身体(主には足底)と床の接触部分から
生じている反力のことです。
床が足を「跳ね返す力」
と捉えてもよいと思います。
上下・左右・前後方向に区分されますが、
歩行の際に意識したいのは前後になります。
イラストのように、
歩行時には
制御力と推進力が働いています。
高齢者以外の歩行において、
男性は
股関節が推進力を担い、
膝関節と足関節が制御力を担います。
女性は
推進力と制御力の両方を膝関節が担います。
これが年齢問わず
女性に膝疾患が多い理由のひとつだと思います。
床反力に加えて
足裏で床を『押し返す力』が加わると、
イラストのように全身は上方向に引き上がり
理想的な姿勢が保持できます。
対して高齢者の場合は、
股関節・膝関節・足関節の角度が減少し、
関節が常に折れ曲がったままになります。
床反力に加えて意識したい
床を『押し返す力』が弱いため、
関節に捻れが生じて関節負担が大きくなり
痛みを伴う歩行障害が起きるようになります。
男性の場合は、
推進力を担う関節が加齢に伴い
股関節から膝関節へと変化します。
男性高齢者は、
加齢により足関節と股関節の機能が低下して
膝関節の運動に依存した歩行になるため、
足関節と股関節の機能を高める運動が必要になります。
膝の疾患が出始めるのは
女性に比べると遅いですが、
加齢によるリスクは女性同様に高まるため
注意しましょう。
女性の場合は、
関節が担う役割が加齢によって変化することはありませんが、脛や足裏の筋力低下に加えて若年層からずっと続く膝関節への負担が影響して、歩行時の衝撃吸収がしにくくなるため、特に足関節の機能を高める運動が必要になります。
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『床を押し返す力』に必要なのは、
主に足裏になります。
床を押し返す力があるかどうかは、
立った状態で足の指を全て持ち上げられるかで
チェックできます。
膝を曲げたり、
体のどこかを歪ませることなく、
指以外の部分で床を踏み立つことができれば、
床を押し返す力があるということです。
5本指がすべて
同じように持ち上がるのが望ましいです。
🔺持ち上がりにくい指がある
🔺土踏まずのあたりや足首が不安定になる
このような場合は、
押し返す力が弱まっていることを示します。
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『床を押し返す力』に加えて
もうひとつ大事にしたいのが、
【体を上に引き上げる力】です。
身長が縮む理由
👆
それについてはこちらをお読みください♡
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レッスン中によく、
「床を押し返すように力強く踏む」
を伝えています。
押し返す力が弱くなることで、
足関節や膝関節が捻れてしまい
余計に踏ん張りがきかなくなります。
土台として不安定な足が
各関節のコントロールを乱し、
運動効果が得られないどころか
痛みを誘発することになります。
足って、
脚って、
すごく大事!