ベーカー嚢腫(膝裏の膨らみ)

『膝に違和感を感じる』
よくご相談いただくお悩みのひとつです。

病名は同じだったとしても、
膝の症状の出方は人それぞれです。

運動後に「必ず」痛む
長時間歩いた後だけ「時々」痛む
何もしていなくても「ずっと」痛んでいる
など、一過性の痛みや慢性的な痛みがあります。

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膝が痛む理由「ニーイン」

膝裏をほぐすメリット

たとえば、下記の症状がある時、
それは【ベーカー嚢腫(のうしゅ)】が
原因かもしれません。
👇
☑️膝の裏が腫れている
☑️膝を曲げると膝の裏に違和感を感じる
☑️膝を伸ばすと膝の裏に痛みが出る

ベーカー嚢腫とは、1877年に「ベーカー」という人によって報告された病気です。
膝の裏に液体が溜まるのが特徴です。

膝の関節の隙間の裏側に袋ができ、
その中に膝の動きを滑らかにしている滑液が溜まってしまいます。
(画像を載せたいのですが、無料画像が見当たらず…ぜひ【ベーカー嚢腫】で画像検索してください)

滑液が溜まる理由は様々です。
👇
☑️激しい運動による膝の使いすぎ
☑️関節リウマチ
☑️変形性関節症
など、9割以上が膝関節の病変を合併していると報告されています。

ベーカー嚢腫は、関節リウマチや変形性関節症の起こりやすい50~70代によく生じますが、7歳未満の子供にできることもあり、老若男女誰でもいつでも症状が出る可能性はあります。

サイズが小さいものであれば問題ありませんが、大きくなりすぎて周囲の組織を圧迫すると、膝の動きの悪さや痛みの原因になるので注意が必要です。

大きいベーカー嚢腫は、
握りこぶし大の大きさです。
皮膚の上からでも大きな膨らみが一目瞭然です。

ベーカー嚢腫の症状としての特徴は、
💡初期段階では痛みがないことが多い💡
ということです。

膝の裏側に痛みを感じたり、膝裏に違和感や不快感が生じた時には重度まで進行しており、膝を曲げる時に圧迫感を感じてうまく曲がらない…といったこともあります。

膝裏までつながる坐骨神経もベーカー嚢腫が膨張することで圧迫されるので、膝を曲げた時に膝から下にしびれが出ることがあります。

大きくなりすぎたベーカー嚢腫は時に破裂することがあります。
破裂するとベーカー嚢腫の中にある関節液がふくらはぎの筋肉の間に入り込み、ふくらはぎ全体が腫れて強い痛みを感じます。

ベーカー嚢腫の破裂によく似ているのが、脚の静脈に血栓ができて詰まる【深部静脈血栓症】です。
ベーカー嚢腫の破裂は経過観察していくことが多いですが、深部静脈血栓症の場合は血栓が移動して肺などの器官内で詰まると命に関わります。
判断が難しいため、ふくらはぎ全体が腫れて強い痛みを感じるようであれば必ず受診しましょう。

ベーカー嚢腫を外科的に切除しても、膝関節内の病変が治癒しなければ再発することが多いです。
逆に膝関節内の状態が良好になれば自然と軽快していきます。

よって、関節リウマチや変形性関節症などを合併している場合は、基本的にまずそれらの治療を行っていくことが多いようです。

外科的な治療をしない場合は、湿布を貼ったり、抗炎症薬を内服したりして様子をみていきます。

注射器により関節液の吸引を行うこともありますが、吸引を繰り返してもベーカー嚢腫が再発する場合や周囲の組織の炎症がおさまらない時はステロイド剤の注射を打つこともあります。

治療が遅れると、手術しなければいけなくなる可能性が高くなるので、膝裏の過度な膨らみを感じたら早急にケアをしましょう。
手術にあたり2週間ほどの入院が必要になることもあります。

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